- 2012年1月22日 20:31
- 病害虫対策・アイディア
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今月のテーマは...冬場のバラの管理について。
昨年12月と今回、以下2つのテーマに分けた2ヶ月完結型のバラ塾です。
- 木立のバラの、用土変え・鉢増し・選定と冬場の管理方法
- シュラブとツルの、用土変え・鉢増し・選定と冬場の管理方法
新年初のバラ塾は、2つ目のテーマ「ツルとシュラブのバラの、用土変え・鉢増し・選定と冬場の管理方法」です。
"シュラブ(s)"ってなに?
「そもそも。シュラブって何のこと?( ゚д゚)」
イングリッシュローズや最近のデルバールの中には多いそうです。
「木立バラでもなく、ツルバラでもない。コンパクトなつるバラ」とてんちょさんは例えていました。
私の愛読書である『バラ大百科 ‾選ぶ、育てる、咲かせる 』 にはこのようにあります。
シュラブ
(モダンローズの)ほかのどの系統にも属することができないものがこの系統に入れられており、ハイブリッド・ティやフロリバンダのような典型的なブッシュ・ローズより樹高が高く(半つる性になることもある)、株が広がる特徴がある。四季咲き性のものと一期咲き性のものがある。イングリッシュローズはこの中に含められる。
赤本こと『バラを美しく咲かせるとっておきの栽培テクニック 』 では、以下のように書かれています。
シュラブ・ローズ
やや高性の低木、または半つる性のバラ。オールドローズやイングリッシュローズ、野生種の一部、モダンローズの一部が含まれます。
シュラブに分類されるバラは、半つるバラとも呼ばれているようです。
原種に近いつるバラと、フロリバンダ系の交配の交配による品種改良の中でうまれたために、ツルバラとフロリバンダの性質を併せ持った品種が多いのも特徴だそう。
詳しくてんちょが系譜を教えてくれたので、ちょっと調べてみましたので以下にツラツラ蛇足をいれてみます。
テリハノイバラ系を種親に持つドクター・W・ヴァン・フリートという品種から、枝代わりでニュードーン(Cl)が生まれ、そのニュードーンの血を継いで、アロハ(Cl)が生まれ、チャールズオースチン(ER)が生まれ、イングリッシュローズへ繋がり、更にはフロリバンダ系も交配親に加えてシュラブへと繋がっていくそうです。
そんわけで、つるの血とフロリバンダの血を持ったシュラブローズは、交配親の影響もあるので全てがそうではないのですが、代表的にはこんな特徴があるのだそう。
- 枝数や枝の細さはフロリバンダに近い
- つるのように枝がしなやか
- 枝が柔らかいため、木立性のバラのように自立せずふわりと広がる
つるほどは大きくないけれど、つるのように枝を自由に誘引できるという長所を持ち。
木立にもつるにもなれる性質を持っているからこそ、選択肢が多すぎて迷ってしまい、結果的には扱いが難しくなる短所を持っている。
それがシュラブローズなのだそうです。
なんとなく、わかりましたか?
「ミニつる」とか言ってくれたら、もうちょっと分かりやすそうなものですが。
とりあえず、シュラブってのはそういうものなんだ。ということで納得させて、先に進みましょう。
シュラブの剪定と誘引
次は冬管理の実践編です。
最初にお勉強したシュラブの特性を生かした、剪定・誘引です。
シュウラブは、その性質から『木立仕立て』にも『つる仕立て』にもできるのが特徴でした。
↓の写真がその見本です。
モデルは、プリンセス シビル ドゥ ルクセンブルグさん。3株とも、同じです。
一番右が、昨年1年育った苗。残り2株のBeforです。
真ん中が、木立仕立てにしたもの。
左が、つるとして誘引したオベリスク仕立て。
一目瞭然ですね!
木立として育てるか、つるとして育てるか、育てる側が選べるわけですね。
シュラブの木立仕立て
シュラブを木立仕立てにする方法です。
モデルは、ポシェットです。
こちらがBefor。
こちらがAfterです。
左右の違いで一目瞭然ですね!(笑
シュラブローズの特徴は「つるとFの性質を持っている」でした。
なので、木立仕立てにしたいときは、フロリバンダの時の選定方法で、樹形をイメージしながら剪定するのだそうです。
フロリバンダの剪定方法は、前回のバラ塾をおさらいしてください!
シュラブのオベリスク仕立て
次は、つるとして扱って、オベリスクに誘引する方法でした。
シュラブだけでなく、ツルばらをオベリスクに誘引したいときも、同様の方法でOKです。
誘引の基本
まずは誘引の基本から。
てんちょさん曰く、つるバラの誘引は「5~6ヶ月差のフラワーアレンジメント」と考えて、枝の成長も想像しながら行うとよいそうです。
枝を誘引するときのポイント
- 頑固で太い枝から誘引
- 枝は強引に曲げずふんわりとナナメになる程度に
- 結びつけるものはビニタイ・麻紐なんでもOK
- 枝を結びつけるときは、次シーズンに枝が太るのを想定して少し隙間をつくる
枝を誘引するときは、太くて硬い枝から!
枝がしなやかなつるバラといっても、ある程度年数を重ねた枝は太くて硬くなるもの…
頑固な枝にムリのない誘引を済ませてから。
若くてしなやかな枝は大体思うとおり自由に曲がってくれるので、後回しです。
また、枝にムリをさせてまで誘因するのはNGだそう。
強引な誘引は枝にストレスをかけて、結果的に樹勢を落とす要因になってしまうこともあるそうです。
どれぐらい曲げるかは、枝と相談して決めましょう。
枝を倒すというよりは、頂芽優勢の性質に逆らうように「枝がナナメの部分を増やしてあげる」イメージで良いそう。
そして、枝は、伸びるだけでなく太ることも忘れてはいけません!
定期的に枝の太さをチェックして結びなおせるなら問題ないかもしれませんが、成長期にグッと太ったときに誘引紐が枝に食い込んでしまってはストレスの元です。
あらかじめ、ある程度枝が太ることを見越してギチギチに留めないようにしましょう。
- 立体交差はOK
- 平行交差はNG
それから、忘れてはいけないのが、誘引する枝が交差するときです。
枝と枝が平行になるときは、一定感覚をあけて。
ぴったりくっつかないように気をつけましょう。
枝を交差させるときは、なるべく枝と枝がぶつかる面積を狭くして。
ステム
バラは、枝を伸ばし、その先に花をつける植物です。
新芽からどのぐらい枝が伸びてどのあたりに花を付けるのか。
ちょっと意識してスペースを確保しておくのがコツのようです。
花のつく枝(ステム)の伸びる長さは、品種によって個性があるそうですが、大まかに分類することはできるようなので、以下のポイントを参考にしてみてください。
- 花の小さな品種
比較的ステムは短め。
オールドローズは花が大きくてもステムが短い場合有り - 花の大きな品種
比較的ステムは長め。
デルバールなどはこちらのパターンが多い
フォーカルポイント
頂芽優勢の性質のおかげで、バラが生長していくと株元が寂しくなるのは避けられません。
上のほうばかり咲いて下は全く花がない。なんて状況にもなりそうなときは、剪定と誘引のテクニックを応用。
太くて元気なベーサルシュートが伸びてきたら、地上部30cmくらいのところでHTのように剪定。
元気なシュートなら、そこから2~3本のサイドシュートがまた延びてきます。
その枝に、低い位置に花を咲かせてもらう方法です。
この方法は、冬剪定の時期だけでなく普段の生育期間でも実践可能だそうです!
四方見のオベリスク仕立て
誘引の基本を抑えたら、つぎはオベリスクに誘引です。
まず、鉢にオベリスクを挿しこみ…太い枝から巻きつけていきます。
オベリスクに巻きつけるときは、右なり左なり、どちらかに巻く方向を合わせて。
あくまでも「なるべく」。
誘引の基本を守りながら枝の誘引しやすい方向で良いそうです。
太めの枝を誘引し終えたら、自由奔放に遊んでいる細くてしなやかな枝を簡単に誘引。
この時、トレリスの頂点は枝が伸びたりすることを見越して残しておくのがポイントだそう。
「先が見えたほうが可愛いですよ。」
シュラブは特に枝のしなやかさを生かして、枝先までしっかり誘引するのではなく、少し枝先を遊ばせるくらいがお薦めだそうです。
これでオベリスク仕立ては完成です。
一方見のオベリスク仕立て
オベリスクにぐるぐると巻きつける方法は、全方向どこからみてもキレイなバラのオベリスクが出来上がりますが、ベランダや玄関先、四方から見渡せる場所に置くわけではないバラの場合や日当たりが一方に偏る場合は、せっかく四方にキレイに咲かせても、勿体無い…
そこえで、あえてオベリスクをトレリスのように扱って、一方向からみてキレイに見せるように誘引するという上級技(?)もあるそうです。
白のオベリスクが、一方見の誘引をしたもの。
黒のオベリスクが、四方見の誘引をしたものです。
写真右側は、オベリスクを横からみた場合。
白のオベリスクのほうは、枝が片側によっていますね!
このように、使い方に縛られず、見せ方によって上手にアレンジするのは、良いアイディアですね!
これで、オベリスク仕立て(1方見・四方見)と木立仕立ての選定・誘引は完成です!
つるバラの剪定と誘引
次は、シュラブではなくつるバラの剪定と誘引です。
シュラブと同様、オベリスクに仕立てる方法もありますが、トレリスに仕立てる方法も!
鉢植えつるバラの剪定・トレリス仕立て
鉢植えのバラを、トレリスに誘引してあります。
誘引の仕方は、先ほどの誘引の基本や一方見のオベリスクへの誘引方法と同じです。
トレリスに対し、枝をいろは坂のように誘引して、とめてあります。
ある程度枝が伸びることを想定して、トレリスの上部はスペースをあけてあります。
また、生育期間中に伸びた枝も、トレリスに沿わせてとめてやると良いそうです。
この鉢植えは、同じ品種のつるバラを2株植え込んで仕立ててあります。
5月の国際バラとガーデニングショウで、展示される予定だそうですので、今後どのように育って花を咲かせるのか、是非会場でチェックしてみましょう!
地植えつるバラの剪定・誘引
つるバラの冬剪定は、「古枝・枯れ枝の整理」が基本。
昨年の誘引をはずして、枝を整理し、もう一度誘引しなおします。
誘引の基本は鉢植えと同様。
鉢植えよりも枝が太く数も多くなるので、よりいっそう水平に誘引しようとせず、頂芽優勢の状態を生かすように枝がナナメの部分を増やしてあげるように…。
壁や柵や塀など、バラの枝を誘引するスペースが限られてしまう場合のコツは、枝を編みこむように誘引すること。
枝を「点」で交差させる約束を守りながら、1つの枝をもう1つの枝で押さえ込むようにしていくと、枝を止める場所を少なくしてもしっかり誘引がでるそう。
地植えの用土管理
モッコウバラやナニワイバラ、ピエール・ド・ロンサールなど、強いバラは用土変えは、わざわざ元気に根を張っている土を掘り返して用土を変える必要はないのだそうです。
逆に用土をいじることによって樹勢を落としてしまったり花数を減らしてしまうこともあるのだとか…
とはいえ。
土が固くなってしまっては生育に影響がでてしまうので、用土の質を上げて、根が育ちやすい環境を作ってあげる用土管理を…ということで、バラの家 堆肥を株元にバーッと敷きましょう。
「やってみますね…」
てんちょは堆肥の袋をあけ、一袋ザバーッと株元に開けると、手でさささっと撫でて…
「できました♪」
こうして、堆肥の力で土をやわらかくして、通気性・通水性をUPしてあげるだけで十分だそうです。
また、地植えのバラに元気がないときなどは、バラの株元の周辺を、3~4年かけて1週するように、部分的に土を掘り上げ、彫り上げた土に堆肥を1:1か2:1の割合で混ぜ込み、戻してあげると良いそう。
一箇所を掘り出すことで根を切って。
堆肥を入れた用土で通気性と通水性をUPさせて。
それによって発根を促してあげるというわけでしょうか。
この方法は、用土変えが難しい10号以上の大きな鉢植えにも生かせる手法だそうです。
折り曲げ剪定のその後
『バラの家 日曜バラ塾:7月「夏を乗り越えるテクニック」』で実践した折り曲げ剪定の株。
夏から秋にかけて元気に成長したようで…ここまで枝が増えていました!
左が、つるバラ「ガートルードジェキル」。
伸びた枝をすべて折り曲げ剪定にしたので、今上を向いているのはすべて新しく出てきたシュート!
右が、HTの「キモノ」。
こちらも折り曲げた枝の根元から元気なシュートが伸びていますね~。
折り曲げ剪定から、冬剪定へ
折り曲げ剪定したHT。
秋を過ぎた今、折り曲げた枝を切ってしまいましょう。
これは、折り曲げ剪定のときに注意として出ていましたが、夏に切るのはNG。
葉が落ちて、仕事を終えた今が、剪定のタイミングです。
折り曲げ剪定から、さらにベッド仕立てへ
つるバラの折り曲げ剪定は、枝をそのまま生かして全体的に枝を枝垂れさせる「ベッド仕立て」へ。
新しくの伸びた枝も全て寝かせて固定します。
倒しきれず、中途半端にたてに伸びた枝はこの時整理してしまってもOK。
上に伸びた枝を思い切って整理してあげることで、頂芽優勢をとめることになるので、寝かせた枝に均一に栄養がいきわたるそうです。
「ちょっと高めの場所に地植えにしてあげても良いですね。」
『枝を寝かせてしまうと花が咲かない』という声もあるそうですが、それは株の生育具合が大きく関係しているそうです。
根の量がしっかりある健全で大きく育った株であること。
2~3月頃の丁度良いタイミングで追肥をかけてあげること。
株のベースラインが一定を超えていて、さらにそれをフォローしてあげるような管理をすることで、「ちゃんと花は付く」んだそうです。
誘引テクニックや剪定テクニックだけに頼らず、育て方もついてこその”満開”というわけですね。
質問・ちょっとしたアドバイスまとめ
ここまでで今回のバラ塾の内容は一通り終わり…
その後は質疑応答の時間でした。
バラ塾内で参加者さんから出た質問や、てんちょの説明中に出てきたちょっとしたアドバイスを以下にまとめておきます。
1つの鉢にバラを複数植える場合
同じ鉢に複数のバラを寄せ植えするときは、なるべく同じ品種のものを植えるようにしましょう。
違う種類のバラでは、根っこの生育も必ずどちらかに優劣が付いてしまって、一方の株が数年後には生育が悪くなってしまう結果になるそう。
花色で大体強弱の関係性ができてしまっているそう…
強い> ピンク>白>赤>黄>紫>茶 >弱い
どうしても複数種類植えたいときは、根と根の間に仕切りを入れてやることで、根と根の生育を遮ってやるとよいそうです。
我が家もミニバラは1つのプランターに複数種類植えていますが、不織布で株ごとに仕切りをつけてやっています。
不織布にしたのは、仕切りを入れることによって通気性・通水性が落ちるのを少しでも和らげられたらなぁと思ったからです。
使用済み用土の再利用について
冬の植替えで大量にでてくる、古い土。
これを再利用してバラに使ってもいいものなのでしょうか?
てんちょの答えは、「バラは生育ベースで考えると新しい土を使うのが好ましいです」とのこと。
モッコウバラなどは全く気にしないそうなのですが、特にHTなどは土についてはとってもわがままなのだそうで、古土を使うと「忌地現象」を起こしてしまうことがあるようです。
バラの用土替えで出た古い土は、花や野菜などに再利用してあげましょう。
1年分の肥料がしみこんだ土は、花や野菜の生育には抜群に効果があるそうです!
忌地現象?
連作障害とも言われるようですが、同じ場所でバラを育て続けたり、バラが植わっていた土にまた別のバラを植えると、うまく育たなくなってしまうことがあるのだそうです。
これを、忌地現象というようです。
これを避けるには、土壌改良や土の入れ替えが必要になるわけですね。
用土替えで出た古土の再利用方法
どうしても、バラに古土を使いたいときは、「肥料抜き」をしっかり行って土壌改良効果のある堆肥を混ぜ込んで使うと良いそうです。
※前記したとおり、基本的には新しい土を使うことをオススメしています。
あくまでも「どうしても使いたいとき」としての方法なのをお忘れなく…。
- Step.1 土に含まれている肥料を抜く
土を一箇所にまとめておき、雨ざらしにすることで肥料を抜きます。
ベランダで管理する場合は、水遣りのついでに古土にも水をかけてやりましょう。 - Step.2 秋になったら土を乾燥させる
約1年かけて土を洗ったら、新聞紙などに土を平らに広げて、古い根などのゴミを抜いて太陽に当てて乾燥させます。 - Step.3 堆肥などを3割くらい混ぜて使う
土壌改良剤が入った堆肥などを土に対して3割ぐらいの量を混ぜて使う
花物や野菜に使うときは、古土を古いにかけて根っこなどを取り除いた後、太陽消毒を1週間ほどして、土壌改良剤入りの堆肥を3割ぐらい混ぜ込んで再利用できるそうです!
植替えタイミングでの元肥や寒肥について
基本的に、「寒肥も元肥もいりません」。
現代の肥料は、化成も有機もよいものが沢山開発されているので、寒肥や元肥をしなくても、春からの追肥でしっかり補ってあげることができるので、どちらも必要ないとのことでした。
吸収しやすい肥料が開発されているからこそでしょうか?
逆に、元肥や寒肥をあげることで肥料のあげすぎになってしまって、結果的に忌地現象を起こしてしまうことにもなるそうですから、肥料の大盤振る舞いはご法度です…。
冬の間は肥料をあげることよりも、通気性・通水性をあげてあげる作業をしましょう!
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以上です!
まとまりのないレポートを最後まで読んでくださってありがとうございました!
バラ塾仲間さんのレポートもありますので、こちらもあわせてどうぞ!
もっとこうしてくれたほうが分かりやすいんだけど…というご意見も、お気軽にどうぞ☆
次月のバラ塾テーマは、バラの品種選びについてだそうです。
もうこれ以上株を増やしたくないけれど、楽しみですー☆
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