- 2011年9月 4日 22:02
- 病害虫対策・アイディア
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台風がやってきて、空模様は不安定。
真上の空は快晴でも、遠くの空は分厚い雨雲。
そんな空は、バラ塾が終わって暫くすると、空に虹が見えました。
1ヶ月の夏休みを終えて、バラ塾がまた始まりました。
バラの秋剪定について
今回テーマになっている秋剪定ですが、日本の各地で四季の変わり目が微妙に違う日本ですから、秋剪定のタイミングなども地域それぞれのタイミングがあるもの。
ここでまとめている内容は、「関東圏の暖地」に対するお話です。
他の地域にお住まいの方は、この点をしっかり把握していただいて、ご活用ください。
さて。秋剪定。
店長曰く、秋剪定は「あまり考えすぎず、普段の手入れで行っている剪定の延長として」捕らえて、秋剪定のポイントは「知っておくと便利かな♪」というぐらいの気持ちでとのこと。
新苗を育てるソフトピンチや、新芽を促すピンチなどなど...日ごろ、バラを育てるうえで何気なくやっている作業と同じものとして捕らえ、株の生育状況や自分の都合で「秋剪定を行わない」選択もアリなのだそう。
冬剪定よりも、もっと気楽なものなんだ!
なんて思うだけで、なんだか秋剪定が簡単に思える単細胞な私...。
剪定とは?
秋剪定を始めるまえに、剪定の基本をおさらいです。
基本中の基本は、バラを剪定するときは、「葉の0.5~1cm上を切る」こと。
葉と葉...枝の節と節の真ん中で切っても、バラは葉の位置までしか水を吸い上げる力がないので、結局、葉よりも高い位置に残された枝は枯れてしまいます。
部分的に枯れるだけならいいのですが、枯れこみや病気の原因になる可能性も否定できないので、しっかり「葉の0.5~1cm上を切る」のがポイント。
また、芽がある程度動き出してしまっているところからは良い芽はでないので、その下の芽にあわせて剪定してあげるのも大事なポイントです。
これ以外にも、過去のバラ塾で剪定のポイントを何度か取り上げているので、興味があるかたはバックナンバーをご覧ください♪
基本中の基本からステップアップした剪定のポイントは3つです。
Point.1 バラをどう育てたいか?
「剪定は基本的には"どうバラを育てたいか?"という人間本意の考えで判断して良い!」
てんちょさんは、剪定の話になると常々こう言っています。
アーチに仕立てたいなど、そもそも剪定をしない選択というのもアリなのです。
つるバラや枝を伸ばしたい...大きく育てたいなら浅い剪定で済ませてみたり。
ベランダなどでなるべくコンパクトに仕立てたい時は、深く剪定してみたり。
そうはいっても、バラの種類によっては、剪定が深いと咲かないバラがあったり、浅いと持ち前の花の良さが出せないバラもある...そこでもう1つのポイントがでてくるわけです。
バラをどう育てたいか?
まず、それをしっかり確認です。
Point.2 咲き方に合わせて
バラは、単純に言えば「切る位置で花の咲き方が変わる」植物です。
高い(浅い)位置で切るのか、低い(深い)位置で切るのかで、違いがハッキリ分かれるのだそう。
浅い剪定の特徴
- 新芽が早く芽吹く。
(芽の展開が速い) - 枝が細めになるので小さな花が咲く。
- 40日前後で開花に繋がる。
芽の展開が速いからといって、良い花が咲くとは限らないので注意。
浅い位置で剪定するほど、深い位置の枝よりも細い枝から新芽を出させることになるので、ボリュームがある花を咲かせるには不向きな位置。
深い剪定の特徴
- 芽吹くまでに時間がかかる。
- 枝が太くなるのでボリュームのある花
- 60日前後で開花に繋がる
枝が太くて芽吹きまでに時間がかかる分、エネルギーを蓄えることができるので、花にボリュームを出すことができる深めの剪定。
いいところ尽くしのような気がしますが、実は深めの剪定のほうが、ブラインドになる可能性も高まるそう。
Point.3 系統別に花芽分化の時期を知る
バラは、新芽が伸びて約5cm以内で既に花芽が作られはじめるそうです。
とはいえ、ただ伸びれば蕾が付くわけでは無いのです。
花芽をつけるためには、夜に、ある一定の温度が必要になります。(花芽分化期)
花芽分化期は、バラだけのものではなく植物にはみんなあるものです。
アジサイの場合は、10月(気温18度以下)。
オリーブの場合は、1月(10度以下の低温)。
アジサイもオリーブも、今年伸びた枝に翌年花を咲かせるので、花芽分化期以降に新たに伸びた枝をザクザク切ってしまうと、どんなに頑張っても花が咲かないという結末。
バラの場合は、「新芽が伸びて約5cm育ったぐらいで花芽が作られている」ということですから、このタイミングの頃にはこの温度の時期を迎えていないと花芽がつかない...ということに。
そうなれば、ただ枝が伸びるだけのブラインドになってしまう原因になるわけですね!
しかも、この花芽分化期に必要な夜温は、バラの系統によってそれぞれ違うそうなので注意です。
どのバラが大体どれぐらいで花芽をつけるのかを把握しておけば、バラが沢山あるひとはどこから秋剪定をはじめればいいか、自然とスケジュールが決定してしまうそうですよ!
バラの系統をおさらいしながら、花芽分化期の温度をチェックです。
HT:ハイブリッドティの場合
- 花芽分化期に必要な夜温:15~18℃
- 四季咲き
- 木立ち
- 大輪(ボリュームがある)...エネルギーが必要=枝の充実が必須
F:フロリバンダの場合
- 花芽分化期に必要な夜温:13~16℃
- 四季咲き
- 木立ち
- 中輪
- 花数が多い
花壇などに植えるにはFがオススメだそう。
S:シュラブの場合
- イングリッシュローズ、OLD×Sの交配で生まれた品種が多い
- 花芽分化期に必要な夜温:16~22℃...ある程度温度がないと咲けない
CL:クライミングの場合
- 花芽分化期に必要な夜温:16~22℃
- HTからのつるとランブラーからのつるで性質が違う
花芽の分岐に必要な夜温を見ると、必然的にS→CL→HT→F→ミニバラの順で剪定していくのが良いというのがわかる...というわけだそうです。
バラに剪定の準備をさせる
バラに、剪定準備をさせてあげることで、樹へのダメージを減らしたり、剪定の効果をUPさせたりすることができる、ちょっとしたコツがあるそうです。
剪定した後、枝の切り口から水が出てきた事、ありますか?
そのまま枝枯れを起こしてしまった事、ありますか?
こういう状態は、たっぷり水やりした後などにあるのだそうです。
この対策方法は「樹を事前に固くしてあげる」こと。
秋・冬の剪定前約2週間は、樹を締めるために水遣りをやや控えめにしてあげるのが良いそうです。
少し枝先がクタッとする程度まで水やりを控えめにしてあげるのだそうです。
繰り返し咲き、返り咲きなどS系のバラの場合は、「枝だけが伸びて花が咲かない」ことがあるらしいのですが、秋のバラが見たい場合は、剪定の約一ヶ月前...だいたい夏以降に入るタイミングで施肥をしないのがポイント。
元々肥料の吸収効率が良いので、施肥を止める影響はそれほど心配する必要はないのだそうです。
反対に、HTやF系は剪定と同時か剪定前に施肥をしてあげると良いそうです。
(有機肥料の場合は2週間前ぐらい)
系統別 秋剪定の方法
てんちょさんが時々言う言葉...「剪定は、人間本位で切っていいんです」。
バラの性格に合わせながらも、育てる環境やつくりたい樹形に合わせて剪定していいのですね。
そのために、抑えておくべき剪定の"樹形別のポイント"です。
てんちょさんが、それぞれの樹形タイプのモデルさんを用意して、実際に剪定を見せてくれました。
HTの剪定
「バラ大百科」によれば、HTというのは"ハイブリッド・ティ"の略称。
ハイブリッド・パーペチュアルとティ・ローズとの交雑(ハイブリット)から始まる現代バラを代表する系統のバラ。
- 花芽分化期に必要な夜温:15~18℃
- 四季咲き
- 木立ち
- 大輪(ボリュームがある)...エネルギーが必要=枝の充実が必須
大輪で花びらの枚数が多いHTがギュムギュムっとキレイに花を咲かせられるためには、エネルギーたっぷり充電した株とある程度の太さをもった枝が不可欠なので、1本の枝に十分エネルギーを貯められるように剪定してあげるのがポイント!のようです。
剪定方法のポイント
- 剪定は深めにして、枝の太さを確保
- 細い枝は整理して、エネルギーを太い枝に集中させる
但し、樹勢が弱いバラを深く剪定してしまうと、さらに樹勢が落ちてしまうことがあるので、株の生育具合や特徴に合わせて、浅めの剪定などに自己アレンジしてあげること。
また、花数を増やしたいときも、浅めの剪定で花を咲かせるより枝を増やす選択も有り。
さらに!
株がまだ充実していないとき、樹勢が弱っているときなど、葉をある程度残したいときも、浅めの剪定にして、芽がでてきたら芽かきをしてあげると良いそうです。
HTには、直立型と横張り型の2種類があるので、それぞれのタイプに合わせて剪定を見てみます。
直立系のHT モデル::青龍
左が剪定前で、右が剪定後。
モデルのバラ「青龍」は、蕾をひたすらピンチして、IB肥料と鉢増しのみで育てた株だそう。
ブルー系のバラは下葉が落ちやすい特徴があるので、株元は少しさびしい雰囲気。
全体の2/3程度を切りました。
横張り系のHT モデル::やまとなでしこ
左が剪定前で、右が剪定後。
「やまとなでしこ」は青龍とちがって枝が横に広がって育っていくタイプのHTです。
「やまとなでしこ」は、「マルシェ・デル・ロト」→「パンターノ・デル・ロト」と名前が変わったのだとか...
「どんなバラに仕立てたいか?」に則って、横に広がってジャマな時やコンパクトに仕立てたい時は、内芽に合わせて剪定します。
やや深めに剪定して、細い枝に良い花は咲かないので整理します。
大体、半分ぐらいに剪定しました。
横張り系(左)と直立系(右)HTの比較
剪定後の横張り系と、直立系。
樹形のタイプが違うのがよくわかりますね~。
Fの剪定
「バラ大百科」によれば、Fというのは"フロリバンダ"の略称。
日本のノイバラに由来するポシアンサ系統とHT系統などが交雑されたバラ。
- 花芽分化期に必要な夜温:13~16℃
- 四季咲き
- 木立ち
- 中輪房咲き
- 花数が多い
Fは、ふわふわっと花が咲くのが魅力。
剪定もふわっと浅く切ります。
浅い剪定で、枝を増やして花数を増やしてあげる作戦です。
秋も咲かせたいなら、浅めに剪定!
但し、Fの仲間の中でもナエマのようなHTに近い品種は、浅過ぎる剪定では返って花が減ってしまうことがあるので、個性に合わせてアレンジしてあげましょう。
剪定方法のポイント
- やや浅めに剪定して細枝を増やすことで、沢山花を咲かせる
- 深く剪定しても花付きは多くならないので注意。
早速、モデルさんの剪定をみてみます。
モデル::イレーヌオブデンマーク
左が剪定前で、右が剪定後の「イレーヌオブデンマーク」。
枝の上のほうにピヨピヨと伸びていた枝が軽く整理されているのがわかるでしょうか?
HTとFの比較
HTの横張り系(右)とF(左)の剪定後を比較してみると、こんなかんじです。
Fの"ふわっと剪定"の雰囲気がよくわかると思います。
Sの剪定
「バラ大百科」によれば、Sというのは"シュラブ"の略称。
HTやFのような典型的なブッシュ・ローズより樹高が高い。
品種によっては半つる性の特徴や株が広がる特徴を持っていることもある。
- イングリッシュローズ、OLD×Sの交配で生まれた品種が多い
- 花芽分化期に必要な夜温:16~22℃...ある程度温度がないと咲けない
SにもHT同様2つのタイプがあるので、それぞれのタイプを見極めて剪定方法をアレンジします。
タイプの見極めは、そのバラの系統にFの血統が混じっているのか、OLDの血統が混じっているのかで判断できるそうですが、基本的には「失敗しながら覚えるのが一番!」だそう(笑
剪定方法のポイント
- 完全四季咲き性はFと同様に扱う。
- 繰り返し咲き、返り咲き系は、浅めに剪定。
- そのバラはどの血を濃く受け継いでいるか?に注目。FかOLDか?
それぞれの特徴を見ながら剪定ポイントを確認です。
四季咲きのS モデル::シャリファアスマ
左が剪定前で、右が剪定後です。
四季咲きでボリュームがある花が魅力の「シャリファアスマ」は、HTと同様、ボリュームある花を咲かせるエネルギーを蓄えられるように、深めに剪定。
伸びたばかりの新芽は、そのままでOKですが、そうすると剪定後につく花と開花時期がズレてしまいます。
開花時期を揃えて咲かせたい場合は、先をつまむソフトピンチで済ませます。
繰り返し咲きのS モデル::メアリーローズ
左が剪定前で、右が剪定後です。
繰り返し咲きである程度枝が細くても咲く「メアリーローズ」は、浅めの剪定。
剪定が深すぎると花が咲かないこともあるので注意。
シュートを伸ばしたい時は、あえて深めの剪定でシュートを育てましょう。
樹勢が弱いor弱っているバラの剪定
元々弱いバラ、樹勢が落ちているバラは、葉数を減らさないのがポイント。
枝先を切る(摘芯)ぐらいで済ませます。
特に、真夏の間に沢山葉を落としてしまったバラは、秋剪定をしない選択を。
今の時期は、葉が一生懸命夏バテから回復するためにお仕事をする時期。
枝の成形・花の開花よりも、葉のお仕事をフォローしてあげましょう。
ダメージを受けたバラは、早ければ2~3ヶ月、或いは、じっくり半年の時間をかけて株を回復させてあげる気持ちでフォローしてあげるのが良いそうです。
CLの剪定
一季咲きのCLは、枝が邪魔でなければ特別秋剪定をする必要はなし。
モッコウバラは、お盆までに剪定を済ませること。
その時期以降に伸びた枝には花が咲かないこともあるので気をつけること。
つるバラは、2つの系統があるそう。
1つ目は、HTの枝代わりから生まれたバラ。
2つ目は、ランブラー系(ニュードーン)の子供。
どちらも、早め・浅めに剪定すること。
レッドキャスケードやリトルルチアなどの四季咲きのつるバラはどこでいつ切っても花が咲く。
剪定方法のポイント
- 繰り返し咲き、返し咲きは浅めに剪定
- 四季咲きはバランスを見てやや深めでもOK
つるバラは、新しい枝が沢山伸びているときは、古い枝を間引く剪定をしてもOK。
(真夏に間引くのは避けること)
弱いバラ モデル::ラテアート(左)と、CL モデル::ローブアラフランセーズ
コンパクトで完全四季咲きの「ラテアート」は、樹勢が弱め。
伸びるタイプのSの「ローブアラフランセーズ」は、ほぼつるバラとして扱ってOK。
切らないといつまでもスーーーーッと伸びていくので、イングリッシュローズと同様に枝先だけ剪定しておくと良い。
剪定後のお手入れ
剪定前の準備と同じように、剪定後にも株の状況に合わせて、それまでの季節の管理方法から秋の管理方法へシフトさせていきましょう。
剪定によって、葉が減ってしまったバラの樹。
当然、葉が減ったことによる影響は、葉からの水分蒸散量にもあります。
葉が減った分、夏までの水遣りから秋の水遣りにシフトして水遣りを控えめにしてあげましょう。
また、剪定後すぐに液肥や置き肥で株に活力を与えて良い芽を動かすよう刺激してあげるのも良いそうです。
秋のお手入れのしかた
黒星は夏の間ずっと、いつもどおり防除を続ける
ハダニも残暑があると再発生の可能性
うどん粉が出始める時期
予防薬
- ダコニール(25℃以下)
- オーソサイド
- ビスダイセン
- サンヨール
治療薬
- トリフミン
- サルバトーレ
- パンチョ
- ベンレート
どうしても効果がない時はポリオキシン
無農薬派はローズニーム
10月のバラ塾は、今までの季節の中で生まれた疑問に対するアドバイスをするか、あるいは、発表される新品種の紹介にするか...まだテーマ未定だそうです。(笑
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