- 2011年7月24日 22:06
- 病害虫対策・アイディア
今回から、バラ塾がちょっと雰囲気を変えました。
ホワイトボードを準備中のてんちょさんと磯さんがホワイトボードを持ってきて...
雑貨コーナー外店舗になり、以前の雑貨コーナーがバラ塾に?!
なんだか、ホワイトボードに机に...本当に塾みたいになっています・・・!!!
塾っぽさパワーアップに比例して、緊張感もパワーアップ。
「今日は質問がすくないなぁ...」とてんちょさんがつぶやいてしまうほどの真面目モードでした(笑
さて。今回のバラ塾テーマは、「夏を乗り越えるテクニック」です。
早速、バラ塾のログ記事をまとめようとおもいます。
夏のバラの栽培のポイントは、"良くする育て方"ではなく、"維持する育て方"を目指すこと。
左の絵は、樹勢のイメージグラフです。
昨年秋の生育状況を維持して冬の休眠を終えが後、春でいっきに芽吹いて樹勢UPします。
そして、春の一番花を咲かせて、バラは一度樹勢を落とします。
(1番花より2番花のほうが小さかったりするのはそのため!)
そのまま、開花疲れを持ったまま、暑さ対策をせずに夏を迎えると、ただでさえ下降気味の樹勢が、夏場バテに背中を押されてどんどん悪化してしまう...そのまま秋も樹勢を持ち直すことができなければ、最悪枯れてしまう結果に...。
逆に、開花後の下降気味の樹勢をリカバリしつつ、夏の樹勢を維持することができれば、秋の成長期で樹勢を持ち直すことができて、翌年、さらに大きな株に育って翌年のスタートを迎えられるわけです。
夏にどれだけ樹勢を維持することができるかで、翌年の樹勢が決まる!わけですね。
「夏のダメージ」ってどんなもの?
バラには、夏の2大宿敵がいます。
それが、厚さと水切れ。
暑さに弱いバラを昼の直射日光や西日にも当ててしまったり、何度も水切れさせてしまうと樹勢が落ちる原因にってしまいます。
そこで、暑さ対策と水切れ対策を3つの側面から施すことで、樹勢を維持しながら夏を乗り切るための環境を整えましょう。というのが、今回のテーマだそうです!
光を取り入れながら熱を抑える環境を整える
バラに直接あたる太陽光を遮って熱を下げる手段は、間違い。
暑さと太陽の光はまったくの別物で、暑さは避けたいもの、光は可能な限り取り入れたい物!
オールドローズやランブラーには光がなくても育つ品種も居ますが、基本的には、バラに光を当てながら、できるだけ夏の熱さを和らげてあげることが大切なのだそうです。
熱をさえぎりたいからと、遮光すると生育に影響が出てしまって、結局、樹勢がおちて夏越し対策が逆効果になってしまうことも...基本的に太陽光には当ててあげるのは一番大切なこと。
それでも、パパメイアンやガーデンパーティ、マダムビオレなどの高温の夏を迎えると葉が萎れたようになってしまう品種や、サマーソングやローズムーアのような耐暑性の低いバラなどは、朝の11時までは太陽光が直接あたり、それ以降は反射光だけでもあたる日陰で育ててあげるのが良いそうです。
また、日射量不足を補ってくれる「ALAちゃん」配合のペンタガーデンを使ってあげるのもオススメ!
どちらもコスモ石油が開発した商品で、ALA(5-アミノレブリン酸)という成分が入っている液肥です。
ALAは、葉緑素を増やし光合成能力を向上させるなど、植物の生長に役立つ天然アミノ酸です。根からの栄養吸収に関係する植物の体内酵素の働きを活性化させ、水や土中の肥料分の吸収を促進させたり、根の生育を促進するなど、さまざまな効果が得られます。
常に日照不足になりやすいベランダの我が家では、ペンタガーデン プロを使っています。
Valueだとコストパフォーマンスが悪かったので、Proにしてみました。
葉や新芽が萎れてしまう時...
水遣りの必要はなさそうなのに、暑い時間帯に葉や新芽が萎れてしまう時は、午前9~10時頃にシリンジをしてあげましょう。
シリンジとは霧吹きで水を吹きかけてあげることで、葉っぱからの水の蒸散量を抑えてあげることができます。
このときは、薬剤散布のときと同様に、葉裏7割、次に葉表3割でシュッシュです。
根の環境を整える
根が夏バテしない環境を作ってあげる事も大切。
そのために大切なのは...保水性と通気性を持った心地よい土。
てんちょさんがプロデュースした「バラの家 培養土」は、夏を乗り切るためにつくられた培養土なので、とってもオススメで、春の水やりは控えめに。夏の水やりはしっかりと。がポイントだそうです。
私も今年からバラの家の培養土に変えましたが、真夏に朝・夕と2回あげないとカラッカラにかわいてしまっていた土が、日によっては3日に1度の水遣りで良いレベルに...環境によっては、保湿力が働いてそんな具合になるのだそうです。
時々バラ園で見かけるクラウンまで埋めてあるバラ。
これは、冷温障害でクラウンが枯れてしまうことを避けるための対策で、北海道などの寒冷地で使える技なのだそうです。
そして、地上の場合の通気性UP法は、「高植え」すること。
土を山のように盛り上げて、地面を高くして植えこみ、株の周りにドーナツ型のくぼみをつくってあげることで、鉢植えのウォータースペースの変わりにしてあげる。
これで、通気性と、保水性を確保するのだそうです。
鉢の素材...テラコッタとプラスチック
テラコッタは、通気性が良いので土が乾燥しやすい鉢。
20年前の夏の気温ぐらいなら、ちょうど良い素材だったのですが、近年の夏は毎年30度越えは当たり前、場所によっては40度近くまで高温です。
そんな時は、プラスチックの鉢にかえてあげることで保水性をUPするのもオススメだそう。
外観のオシャレを楽しみたくてテラコッタ鉢にしたいときは、バラはプラ鉢に植え込んで、テラコッタの鉢のなかに入れてしまいましょう。
二重鉢にすることで、根に伝わる外気温も下げることができて、一石二鳥です。
日中の水遣りは、だめ?
真夏の真昼間でも、鉢が乾いてしまっているなら水枯れをおこす前に水やりをしてOK!
ポイントは、水のあげ方。
太陽の熱であったまった鉢と土に、太陽の熱で暖かくなった水をあげてしまえば、高温になった水で根をいためてしまうので、これはNG。
蛇口から暫く水を流して、自分の手で水温が冷たくなったのを確認してから、2~3度水やりをして、水で鉢の温度を下げてあげるイメージで水やりを。
鉢底から流れ出てくる水が冷たくなっていれば、バッチリです♪
また、活力剤(メネデールなど)や微紛ハイポネックスでスタミナ投入してあげるのも良し。
根を元気にすることで、肥料の吸収率もUPするので、株が元気になりやすいそうです。
枝の環境を整える
「折り曲げ剪定の方法を生かします!」と、ながーく伸びたバラの枝を次々に倒していくてんちょ。
ローズスタイリストで枝を寝かせて押さえたり、折り曲げ剪定のように枝を指先でつぶして折ったり。
そして出来上がったのがこちら。
「勢いで全部たおしちゃいました♪」
この折り曲げ剪定の手法は、元々地植えのバラ向けの手法で、ツルバラなどの枝づくりにも使える技なのだそうで、てんちょさんの施したバラのように、全ての枝を折り曲げ剪定してしまうのは「葉を残したままのげんこつ剪定状態」。
強制的にベーサルシュートが出てくるように仕向けるわけですね。
さて、これが枝の環境を整えるとは一体どういうことかと。思うわけですが...
太陽があたる方向の枝を折り曲げてあげることで、4つの利点を得ることができます。
イメージ図を描いて見ました。
1つ目の利点。
太陽からの光を、折り曲げた枝と葉でさえぎることで、土の温度が上がるのを防ぐ遮光の役割をしてくれる。
2つ目の利点。
こみあった枝が開くので、通気性もUP。
3つ目の利点。
株元(クラウン)にも太陽光があたる。
4つ目の利点。
剪定して葉を落とすことなく、栄養生産工場としての葉を残したまま新しいシュートを育てることができる。
株を育てるために最も大切な「葉」を残して、光合成パワーUPさせながら日陰も作る。
なんとも美味しいところだらけの折り曲げ剪定ですね。
勿論、当然あるのが問題点。
それは、ハダニが出やすくなる...(´・ω・`)
一筋縄ではいきません。
ちなみに折り曲げた枝の先から出てきたサイドシュートは、また折り曲げるそうです。
そして、秋の剪定時期になったら、折り曲げたところを切り落とします。
夏に剪定してしまうと、葉が急激に減ってしまうので樹勢を落としてしまいます。
今は、樹勢を維持したいので、枝葉は大事に取っておきます!
鉢をこれ以上大きくしたくない時の水切れ対策
スペース的な問題や株サイズを抑えたいという理由で、今以上鉢を大きくしたくない。
でも、夏の暑い日にはすぐに水切れしてしまう...
そんな時にオススメの対策法も教えていただきました。
夏の暑い時期の間は、新芽を全部取って水の蒸散量を抑える。
せっかく出た新芽なのに!と思うのですが...
9月に入って暑さが落ち着いて来たら、新芽取りをやめて枝を育てるのだそうです。
また、秋に入っても常に新芽を取り続けていると、「どうして新芽をださせてくれないの!!」と怒ったバラが、株の下のほうからシュートをニョキッと生やしてくれることもあるのだそうです。
この季節の害虫対策にオススメの薬剤
この季節最も増えるのは、ハダニ。
ハダニは一度増えるとなかなか撃退しずらいのでしっかり対応しなくてはいけません...
ベランダガーデンの柊庭は、乾燥して高温の環境が大好きなハダニにご満悦いただける環境。
すでにハダニさんは白ハダニも赤ハダニも沢山いらっしゃいます...
葉の込み入ったところ。
乾燥して高温のところ。
そこが、ハダニ量産地帯です。
コロマイトは、どんなハダニの種類でも大体効いてくれる天然成分の薬剤。
ダニ太郎はガーデナーさんには聞きなれた薬剤なのでは?
粘着くんは、でんぷん質という無害な素材なのに、ハダニが呼吸できないようにしてしまう恐ろしい殺傷能力を持っているそうです。
ローズニームもオススメだそうですが、ニームは高温障害が出るので、朝か夕に、薄めに希釈して散布しましょう。
ハダニは薬剤耐性がつきやすく、1匹でも残ると数日後にはまた大発生する面倒なヤツです。
葉がカスレたり、白いクモの巣のような幕が枝葉に付き始めると、末期です。
出始めは1週間に1回ぐらいで薬剤散布を。
蔓延している時は、ハダニの生育サイクルに合わせて、5日に1回。
体の一部に薬剤がかかれば良い害虫と違い、ハダニやウドンコは全体にかからないとイタチゴッコになるので、沢山・しっかり散布が基本です。
一度枝葉を水洗いして、2~3時間して乾いたころに散布するのが効果的です。
但し、黒星病やベト病がある場合はこの方法だと病気が悪化してしまうことがあるので避けます。
8月は、バラ塾も夏休み。
次のバラ塾は9月。
テーマは「秋剪定と秋に気をつけること」です!
- Newer: 「空海と密教美術展」観て来ました。
- Older: 宙組『美しき生涯』 『ルナロッサ』