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神社

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小さいのか大きいのか、神社そのものの大きさは多分小さいのだろう。
ひっそりと社殿があり、その両脇を守る様に銀杏のような細く、とても背の高い大きな木が1本ずつたっている。

小高い場所にあるようで、横をみれば、遠くまで広がる家や田畑。
そのむこうには、山が見えた。
天気はよく、青空が綺麗でおおきな雲が空に浮かんでいた。
風が少し強いが、心地よかった。

神社は、まっすぐ、2つに分けられた階段を上ったところにある。
長めの階段が1つ終わると、2・3歩程度の平らな場所があり、また階段がある。
その先に鳥居があった。

鳥居のしたにたたずむ2人の子供がいた。
1人は3歳ぐらいのおかっぱの女の子。
可愛らしい、紅い、綺麗な(高価に思える)着物をきていた。
肌が白く、可愛らしいが、悲しそうだった。

その隣に、少年がいた。
5歳ぐらいで、隣にたたずむ少女の背中にそっと手を添えている。
灰色っぽい、彼らしいシンプルな柄の着物だった。
この少年も、りりしい顔立ちなのに、無表情で、悲しそうな雰囲気だった。

彼らから、ずっと目をそらさずにいたけれど、その場にはいられなかった。
右手を引かれて、どこかへ行くところだった。
時折、前で手を引く人をみるが、黒く、長い髪と、ほっそりと高い背中しか見えず。
彼女は怒っているのか、とても威圧感があった。
母・・・だろうか。わからない。

ただ、強く「怖い」と思った。

右手首をつかむ、彼女の左手はとても力が入っていたけど、不思議と、力づくででも振り払おうという気はなかった。
これから連れて行かれる先に行かなくてはいけないことも理解していた。
けれど、どうしても背後に見える2人の姿が気になり、何度も何度も振り返った。
「置いていけない」そう思っていた。
心配で心配でたまらない。

けれど、もう自分には引かれる手を振りほどけない理由があった。
それは何だか、わからない。
ただ、その先には明るい未来を感じていなく。
そんなことよりも、2人の将来のことばかり、頭をよぎっていた。

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