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蜜柑畑の下で

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蜜柑畑の、大きな蜜柑の木下。
あの独特な根っこと、シダの葉と、土。
目の前には、石が詰まれていて、またそのうえに蜜柑の木が生えているのを知っていた。

蜜柑の木の下で、パニックになり、ただひたすら泣いていた。
息はあがっていて、肩が上下しているのが自分でもわかる。
そんな苦しさは、どうでもよかった。
そんなことよりも、頭のなかには同じ言葉だけが繰り返されていた。

「どうしよう・・・どうしよう・・・」

それだけを繰り返していて、体は動けずにいた。

目の前に倒れている人は、息が浅くて。今にも死んでしまいそうで。
現実には、その人が死んでしまうことを、あたしはもう確信していた。

どうしようもなく、でも、どうにかしてこの現状をかえたくて。
必死に何かをしなくちゃいけない気がするのに、体が動かず、何をしなければいけないのかも、全くなにも浮かばなかった。
パニックで、ただ、泣いて抱きしめているしかなかった。

「どうしよう、どうしよう、居なくなってしまう」

その後の記憶はブツリと消えている。

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